長野県小川村で、有機JAS認証を取得し、有機農業に取り組んでいます

2021年12月31日金曜日

2021年総括

令和3年大晦日 

もう2021年も終わりですね。今年も多くの方に支えられ、応援していただき、年を越すことができることへ心より感謝します。ありがとうございました。

1年の締めくくりに自身への振り返りを含め、今年特に印象的だったことを記しておきたいと思います。

 














2021年は2012年春に就農し、10年目を迎える節目の年だった。この10年さまざまなことがあったが、どうにかこうにかここまで続けてくることが出来たというのが正直な気持ちだ。見ず知らずの土地で、経験もお金も機械も基盤も土地もない、知り合いもいない、そして山間地域での営農不利地での完ぺきな見切り発車、今思うと我ながらゾッとするほど無謀で無知な行動だった。10年前の自分に声をかけることができたなら、「なめるのもいい加減にしろ、そんなに甘くないぞ」と間違いなく説教することだろう。

ただ当時としては、どうにかなるだろうという根拠のない自信だけがあったと思う。当然その自信がガタガタと崩れていくこの10年でもあった。幸い奇跡的にもここまで続けて来られたのは多くの方にお世話になり、支えられてきたことは言うまでもない。まだまだ経営的には吹けば飛ぶような有様で、しっかりとした経営基盤ができたとは言えないが、10年続けて来られたということは自分にとって大きな励みとなっている。

これから先の10年も自分らしい農業がこの地で続けていけるよう、一歩一歩歩んでいきたいという思いだ。

2021年総括として、今年の出来事を振り返ってみたい。

今年取り組んだこととして、最も大きな効果が得られたことに出荷場のカイゼンがある。ものの動き、ひとの動き、効率的な作業体系を今までの経験をもとに徹底的に考え、レイアウトと作業体系を作り実践した。

結果、より少人数で多くの収穫物を処理できるようになった。深く考え実行することでさらなる課題や工夫の余地が明確に見えてきて、今後はこれをもとにマイナーチェンジを繰り返していけばますます良い環境になっていくだろうという道筋が見えたことも大きな成果である。

栽培に関しては前半のズッキーニの出来は良く、7月中旬からは日量300㎏の目標設定を大きく超える日量500㎏オーバーな日も何度かあった。その後雨の日が多く、8月10日を境に収量はガクンと減り、100㎏を下る日も多くあった。その後大きな回復が見られないまま、シーズン終了となった。

今年は梅雨が2回来たような雨の多い夏だった。大豆面積は年々増え、今年は1ha弱の作付けだった。梅雨時の晴れ間が極端に少なく、播種から1カ月の間に2回行う中耕培土作業が進まず、一時は栽培を諦めかけたほ場もあったが、臨時で人に作業をお願いするなどして、どうにか全ほ場で収穫までこぎつけることができた。

大豆にとってはよい天候だったのか、収量は過去最高の出来であった。なかなか安定した天候が今後も望めないなか、面積増加に伴う最大のリスクである中耕培土作業をいかにタイムリーに行うことができるか?が大豆栽培のカギになるが、中耕培土作業をお願いできる臨時スタッフを入れるというのは解決策の一つになると感じた。常日頃から人の確保を念頭に置いておく必要がある。

インゲンはシーズン中、途切れなく収穫するために3ステージに分けた栽培スタイルを取ってきたが、例年8月の一番暑い時期の栽培がうまくいかず、今年は思い切ってその時期の栽培を止め、前半後半の2ステージに絞った栽培にした。取引先へは以前から共同出荷している小諸の農家へその時期に注力してもらう形で出荷の穴を開けないように調整した。面積も若干減らしより管理が行き届くようにした結果、収品率の向上につながった。潅水方法や土壌の物理性などまだ課題は多いが、今後の方向性が見えてきたことは良かったことである。

丸オクラはインゲンの端境期である8月上旬から収穫が始まり、インゲン収穫スタッフが丸オクラも収穫できるようにしたことで、時間の使い方、仕事の回し方がよくなったと感じている。

昨年試験的に栽培したミニ大根を今年は面積拡大し、ズッキーニ以降秋の主力作物としての地位を確立すべく、注力した。大根の播種時期である8月末にも雨が多く、畑に入れず、種が適期に播けない、まだ乾ききらないうちに焦って耕し、うまく種まきできないという状態だった。それでも過剰に播種をしておいたおかげで何とかものになったものから出荷をし、注文分に穴を開けることなく終わることができたことは良かった。播種時期の畝づくりはじめ、改善すべく課題は山積みだが、取引先の反応よく、大いに手ごたえを感じ、来年以降さらなる売上向上を目指し、この時期の主力作物となるよう注力していく。

いわゆる重量野菜を初めて栽培して、もっともネックになるのが輸送費だ。ズッキーニやインゲンなどの軽量野菜に比べ、1本あたりの輸送費の割合が増え利益を圧迫する。始める当初から分かっていたことだが、週間の荷動きも定まらないなか、運送会社と話しをするのは控え、まずやってみてという思いからあえて今年は既存の配送システムで通した。どういう輸送システムを作るか、今後の重要な課題だ。

売上は全体的な需要減の影響か、ズッキーニはシーズン通しての市場価格が就農以来おそらく最安値を記録し、10月には農協から強制ではないにしろ出荷抑制への協力依頼というものが初めて来た。市場価格低迷の影響で直接販売している取引先からの注文数にも大きな変化が見られた。取引先によってはシーズン中1回も注文が来ない、例年週6回が1回に、というくらい激減した箇所もあった。また例年通りという取引先もあり、明暗が分かれ、取引先のカラーが鮮明に表れた。結果として売上は大きく落ち込むこととなった。安値とは関係ないが、一件の取引先とは意見の相違により、取引関係を終了するということもあった。

ここ数年は安定した(と思い込んでいた)取引先との関係だったが、それぞれの関係性がより克明に表れ、温度差がはっきりと表れることになった。これを踏まえ、来年は営業活動に力を入れていくことにする。具体的には新規顧客開拓のための営業活動より、現時点でつながりがあるところとのさらなる信頼関係の構築、お互いの仕事の充実と制度向上を目的とした話し合いをしていきたいと考えている。

スタッフのこと。毎年来てくれ今年で8年目になるYを中心に住込みスタッフ2名、収穫スタッフ2名、出荷スタッフ3名体制で、毎年住込みスタッフが変わる中、去年初めて来たMが今年もスタッフとして来てくれ、フルタイムのメインスタッフ2名がリピーターという農園始まって以来初めてのことがあり、仕事の効率化に大いに貢献してくれた。リピーターのありがたさを痛感する。もう一人の住込みスタッフはニュージーランド人という、日本人以外のスタッフの採用も初めての経験だった。コミュニケーションの難しさ、楽しさを感じ20代にオーストラリアで得た日常会話くらいの英語力を改めて取り戻したいという欲求が起き、英語の会話能力の獲得に向け、この冬は動いてみようという気になっている。

大豆の中耕培土作業やズッキーニの収穫などうまくヘルプを頼むことで、適期作業や日量増減への対応などがスムーズになり、より精度の高い仕事がこなせるということが改めて認識できた。今後もこのような形は継続していきたい。今の経営スタイルを支えているはこのスタッフたちの力が大きく、より気持ちよく働ける場づくりや人との関係を大切にしていきたい。

全体としてはズッキーニの安値が打撃で売上は大きく落とすことになったが、カイゼンの成果やスタッフとの関係性、秋の主力となるミニ大根への足掛かりなど今まででにない手ごたえを感じることができた。また来年以降へ良い形でつながるよう、春に向けて計画を立てていきたい。

以上、2021年振り返り。


来年はまた新たな10年の始まりでもあり、初心に還った気持ちで歩んでいきます。

今後とも麦ダンス農園をよろしくお願いいたします。

よいお年をお迎えください。

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