2025年も残すところ、そして年男もあと3日となりました。
巳年の今年を振り返って
まず一番大きかったのは、2012年より12年続けた専業農家から、この4月より農林公社の一員として働きながら、自分の畑も耕作するという兼業農家のスタイルへ変更したことです。
専業農家というスタイルを変えるという決断をしたときには、それなりに思い切った決断ではありましたが、実際やってみてほぼ1シーズン経ちましたが、今の気持ちは結構普通だなという感覚です。
普通という表現も分かりづらいかもしれませんが、当時自分の中ではとても大きな決断であったし、大きな変化であると思っていましたが、実際はたんたんと今までと変わらない充実感で日々を過ごし、すんなりとその暮らしに慣れてしまいました。それは自分にとってとても自然であり、普通のことでした。
農林公社の仕事が、今まで自分がやってきたこととそれほど大きな違いはないというのも理由の一つかもしれません。トラクターで畑を耕耘したり、大豆やソバなどの種まき、コンバインでの収穫作業(コンバインは初めて乗りましたが)、などどれも自分にとっては馴染みのある作業です。月の半分ほど公社で作業し、残りの半分で自分の畑作業という日々で、結局毎日農作業という体の使い方に大きな変化はなかったように感じます。とはいえ昨年までと農園の経営内容は大きく変わりました。
経営内容は激変したのですが、管理している面積はそのままなので、手のかかる野菜の面積を大幅に減らし、野菜に比べ手のかからない大豆、小麦を増やしました。それでも使いきれない畑は贅沢な使い方ですが、緑肥しか栽培しないという畑もありました。
野菜は毎日の収穫出荷作業からはじまり、細かな管理作業の量が膨大であり、加えて環境の変化に繊細でそれに応じた管理作業がとにかく手間がかかり、伴う精神的なプレッシャーも大きいです。当然、栽培面積が増えれば増えるほどそれらは増大し、とても兼業で務まるものではありません。一方、小麦は種まき準備と種まきをしてしまえば、あとは収穫までほとんど手をかけずに済み、大豆は草管理と培土を兼ねた中耕作業の時期が大変ですが、それでも手のかかる時期は一時でそこを乗り越えれば、管理の手間からは解放されます。
そういった理由から野菜の栽培は一人でこなせる面積に絞り、どうしても人手が必要なときだけ、お手伝いさんにお願いする形にしました。少し大きな家庭菜園程度の規模感で、自宅で食べる野菜の他、毎日道の駅の直売所へ持って行き、多少の売り上げにするといった程度でした。ただ直売所の売り上げも地理も詰まればなんとやらで、大事な収入源になっています。
1シーズンやってみての今の感想は結構このスタイルが気に入っています。
今まで農業以外の時間はほとんどとることができませんでしたが、シーズン中もそこまで追い詰めて作業をすることもなく、自分や家族、地域活動に充てる時間がとれるようになったのは今の自分にとってはうれしいことです。趣味の時間も全くなかったのですが、久しぶりに趣味の時間も楽しんでいます。特に地域の様々な活動は自分がこの地で農業をやるのと同じくらい大事な位置付けで、これからも住み続けたいと思う場所づくりに直接関わっていくことが、特に人口の少ない田舎にとってはとても大事なことです。今までは最低限のリソースしか割けませんでしたが、今年は思いと行動が一致できるくらいは時間を使えたことがとてもよかったです。
自分では気づきませんでしたが、顔つきがやさしくなったと言われたこともありました。今まで相当気張ってたんだなーと(笑)
農業経営の方は資材、肥料、運賃、人件費とすべての経費が上がるなか、そしてここ数年の暑すぎる夏、極端な干ばつや集中豪雨など、農業一本で食べていく環境は年々厳しくなっているというのが実感です。物価が上がっていくことが暮らしが豊かになるという実感は全くなく、そのレールから片足くらい落ちてても生きていけるくらいの柔軟性とタフさはこれからますます大事だなという実感が強くなっています。ありふれた言葉で言えば、お金も大事だけど、お金に頼り過ぎず生きていく力みたいなもの、そして地域のコミュニティづくりが待ったなしの課題かなと。
農林公社での仕事はいわゆる組織の中での働き方というのが新鮮であり、自営業で自分の意見だけで進んできたこととは全く違うベクトルで仕事をするわけで、意見の違う人とどう折り合いをつけ、協力していくかなど、勉強になる場面も多いです。しばらくは様子をみながら、小川村に農林公社がどのような形であれば最適なのかを考える時間になりそうです。
村のこれからの課題に向けてこのタインミングで農林公社へ関わり出したことは、後々良い判断だったと自分自身、そして地域の人たちが思えるような仕事をしていきたいと改めて感じています。
しばらくは麦ダンス農園も廃業することなく、兼業で継続していくつもりなので、今後ともよろしくお願いします。
それではみなさま、良いお年をお迎えください。
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